ゼロ年代の最高傑作

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

ようやく買いました、虐殺器官文庫版。
黒い表紙は新書版よりも好感触。取り扱う題材の重さとあいまって、素晴らしいと思います。
しかし、帯にメタルギア小島監督が寄稿してるのがじんわりくる。


来月には伊藤計劃記録と題された出版物が刊行されるらしいですけれども、楽しみにしております。
それにしても、伊藤計劃さんの死を嘆くSF界を見ると、稀有な才能と愛されっぷりが半端じゃなかったのが伺えます。
僕はSF好きの人間ではないんですけれども(21世紀の現在でもフォーサイスが大好きで、エスピオナージュ作品への嗜好から虐殺器官を読み始めました)、伊藤計劃作品と出会えて本当に良かったです。


ゼロ年代SF作品を集めた短編集。
なかでも秋山瑞人さんの「おれはミサイル」がいい!


無限に広がる大空を飛ぶ戦闘機の「わたし」(パイロットではなく戦闘機自身)。
戦闘機たちは地を駆ける鳥の名を与えられながら鳥のことを知らず、大地がレーダーに映る巨大な雑像「グランドクラッター」として悪夢と同義語で語られる世界。
空を往く「わたし」はある日、自らが抱える十五発のミサイルたちの声を聞く。
レーダー・ホーミングと赤外線ホーミングのどちらが優れているかを言い争い、自身の誘導哲学を語り、敵目掛けて飛翔する瞬間を夢見る「死にたがり」のミサイルたち。
そんなミサイルたちと過ごしていた「わたし」は、ついに敵対勢力の航空部隊と遭遇し――。


というのがストーリー。
この擬人化は惹きこまれましたわ。


余談ですがこれに出てくる航空機のセラエンジェルでMtGを思い出した。