灰姫 鏡の国のスパイ

原発はまだまだ予断を許さないものの当ブログは今日から平常運転です。

灰姫 鏡の国のスパイ

灰姫 鏡の国のスパイ

ハルビン・カフェ」「裸者と裸者」の故・打海文三の処女作。
ソ連崩壊後のロシア極東の投資関連のリサーチにより業績を伸ばしてきた日本の調査機関、東亜調査会。社のなかで大きな権限を持つ極東委員会の現場責任者が、ウラジオストクより瀕死の状態で帰国する。
東亜調査会はそこに「北の隣人」であり対日浸透作戦の指揮官・李北満と、かつてアンクル(CIA東京支局)が運用したスパイ・灰姫の影を見るが……。
というお話。
ずいぶんとハードなエスピオナージュものを書いていたのだなと思ったのですが、そのへんは「されど修羅ゆく君は」に外事警察官がでてきたりと後の作品にも面影がありますね。サブタイトルの鏡の国で思い出しましたが、そういやハルビン・カフェはジョン・ル・カレ的とも評されていましたな。
なによりも「時には懺悔を」以後の作品と比べて、文体がぜんぜん違うのが驚きでした。